あらすじ
「大魚海棠」は、人間界とは異なる神秘的な世界を舞台にしたファンタジーアニメーション映画である。この世界には、外部の者が足を踏み入れたことのない神話の地が広がり、そこに住む精霊たちは人間の感情や欲望、季節、天気、時の流れを司っている。 物語は、精霊の少女チュンが16歳を迎えるところから始まる。彼女は成人を祝う儀式として、イルカの姿に変身し、地上の海を探検し人間の世界を体験することになる。しかし、航海中にチュンは嵐に巻き込まれ、漁網に絡まってしまう。その窮地を救ったのは、一人の人間の少年だった。少年はチュンを助けようと奮闘するが、不慮の事故により命を落としてしまう。チュンは、自分を救ってくれた少年の死に深い悲しみに沈む。 チュンは、小さな白い魚の姿となった少年の魂を生き返らせることを決意する。これは、犠牲と贖罪の念を抱きながら、自身の限界と向き合い成長していく思春期の少女の姿を描いた、心揺さぶるほろ苦い物語である。死、愛、そして成熟した感情といった普遍的なテーマを、繊細な筆致と豊かな表現で紡ぎ出す。