1965年に少女漫画でデビューし、長きにわたって日本の漫画界を支えてきたベテラン作家の死去は、多くのファンや業界関係者に悲しみをもたらしている。

少女漫画から少年漫画まで、半世紀以上のキャリア

吉森氏は1965年に少女漫画でデビュー。その後、少年漫画の分野にも活躍の場を広げ、野球漫画「しまっていこうぜ!」などの作品を手がけた。少女・少年双方のジャンルをまたいで作品を生み出せる作家は決して多くなく、その守備範囲の広さは吉森氏のキャリアを語るうえで欠かせない特徴だ。60年近くにわたる創作活動の中で、多くの読者の心に寄り添い続けた。

近年の作品としては、「ちょっと留守にしていたら家が没落していました 転生令嬢は前世知識と聖魔法で大事な家族を救います」のコミカライズも手がけており、異世界転生ものが隆盛を極める現代においても精力的に筆を走らせていた。タイトルが示す通り、主人公の転生令嬢が前世の知識と聖魔法を駆使して没落した家族を救うというストーリーで、近年人気の高い「令嬢もの」ジャンルの一作だ。

ベテランが最後まで現役であり続けた意味

80代を超えてなお現役の漫画家として作品を世に送り出し続けていたことは、それだけで一つの偉業と言える。1965年のデビューから計算すれば、実に半世紀以上にわたって漫画という表現と向き合ってきたことになる。少女漫画黎明期から現代のなろう系コミカライズまで、時代の変化に柔軟に対応しながら描き続けた姿勢は、後進の作家たちにとっても大きな指針となるはずだ。

「しまっていこうぜ!」のような昭和の野球漫画を知る世代にとっても、近年の転生ものコミカライズで吉森氏の名前を知った若い読者にとっても、その喪失感は軽くない。

吉森みきお氏のご冥福を心よりお祈りするとともに、残された作品群が今後も多くの読者に読み継がれていくことを願いたい。氏が描いた物語の数々が、これからも誰かの記憶の中で生き続けるだろう。