新作の舞台と登場人物

今作「アガリビトの後始末」には、「夜間地域交流課」という組織が登場する。名称からして、いかにも夜の世界と人間社会の橋渡し役を担うような部署であり、たもつ作品おなじみの「公務員×オカルト」という構図が引き継がれているようだ。さらに「玉緒家」という一族、そして平安時代の陰陽師として名高い安倍晴明の存在も作中に絡んでくるという。歴史的・神話的な要素と現代的な設定が組み合わさった、重層的な世界観が期待できる。

「真夜中のオカルト公務員」作者の実力

たもつ葉子といえば、「真夜中のオカルト公務員」で独自のポジションを確立した作家だ。同作は夜間地域交流課に配属された新人公務員・宮古新が、妖怪や精霊といった「アナザー」たちとの問題解決にあたるという物語で、アニメ化もされた人気作。単なるオカルト描写にとどまらず、行政や組織のリアリティ、そして人間と異形の存在との関係性を丁寧に描いてきたのがたもつ作品の魅力だった。

「アガリビトの後始末」にも「夜間地域交流課」という名称が登場する点は見逃せない。前作との世界観的なつながりがあるのか、あるいはオマージュ的な要素なのか——原作ファンとしては気になるところだ。安倍晴明という歴史上の人物を絡めることで、前作よりもさらにスケールの大きな神話・伝承の世界へと踏み込んでいく可能性も十分ある。

「アガリビト」というタイトルの言葉の意味、そして「後始末」という少し哀愁を帯びたニュアンスも含め、物語の核心がどこにあるのかはまだ謎めいている部分も多い。1巻の発売を機に、続刊の情報や作者のコメントなど、今後明かされる詳細に注目したい。