2作同時スタートという異例の布陣
7月10日発売のビッグコミックスペリオール15号(小学館)に、国木田くにおの新連載「夕暮れから元気いっぱい」が短期集中連載として掲載された。同号の電子版では秋ヨシカの新連載「わたしは天国」も同時スタートしており、1号に2本の新連載が揃うという注目の展開となっている。
「夕暮れから元気いっぱい」は、いわゆる"鬱ポップ☆青春ストーリー"と銘打たれた作品。少年少女の繊細な感情と日常を、どこか翳りのあるポップな感覚で描く青春群像劇になるとみられる。短期集中連載という形式を採用しており、密度の高い物語が期待できる。
一方、電子版に掲載された秋ヨシカの「わたしは天国」は、37歳でガールズバンドを再始動させる女性の物語。年齢的なハードルや社会的なリアルと向き合いながらも音楽に情熱を傾ける主人公の姿は、かつてバンドに夢を持ちながらも現実と折り合いをつけてきた読者の心に刺さるテーマを持っている。
「大人の青春」という新鮮な切り口
近年のマンガシーンでは10代を主人公にした青春音楽ものが多い中、「わたしは天国」が描く"37歳からの再出発"という設定は際立って新鮮だ。ガールズバンドというジャンルは若さと勢いのイメージが強いだけに、そこにあえてアラフォーの主人公を置くことで、夢と現実、過去と未来の間で揺れる感情がより生々しく浮かび上がってくる。
対して「夕暮れから元気いっぱい」の"鬱ポップ"という言葉には、明るさと暗さが同居する独特のトーンが感じられる。ポップな外見の内側に鬱屈した感情を抱えた少年少女の物語は、今の時代の空気をうまくすくい取ろうとする意志が見える。
ビッグコミックスペリオールといえば、幅広い年齢層の読者を抱える老舗青年誌。そこに"青春"と"音楽"をキーワードにした2本が同時に登場したことは、編集部の明確な意図を感じさせる。両作がこれからどんな物語を紡いでいくのか、続報と次号の展開に注目したい。