あらすじ
大学4年生の才宮楓は、触れた相手の記憶を抜き取る特殊な能力を持つ。この力は彼女の人生に大きな影響を与え、人との関わりを避け、就職活動にも失敗し続けていた。その能力を制御できず、意図せず他者の記憶を消してしまうことから、楓は人との深い関わりを避けて生きてきた。アルバイトや就職活動も、その能力が原因で常にうまくいかず、孤独を深めていた。 ある日、楓は電車のホームで、職場のハラスメントに苦しむ会社員の女性と出会う。心身ともに疲弊した女性の姿を見た楓は、衝動的に自身の能力を使い、彼女の辛い記憶を抜き取ってしまう。しかし、その一部始終を幼馴染の上代蒼に目撃されてしまう。 それから6年後、蒼は楓と偶然再会するが、楓に関する記憶を一切持っていなかった。それは、かつて楓が蒼の記憶を抜き取ったためであった。しかし、楓の特殊な能力と、能力ゆえに苦悩する彼女の現状を知った蒼は、人々の「忘れたい記憶」を抜き取るという、ある仕事を楓に提案する。これは、特殊な能力を持つ少女が、他者の記憶と向き合いながら自身の存在意義を見出していく物語である。