戦後の闇市を舞台に、食が結ぶ再会の物語
辻恵による新連載「のこりものにはメシがある」が、4月24日よりチャンピオンクロスにて連載を開始した。毎週金曜日更新で、戦後日本の混乱期を生きる若者たちの姿を、「食」を軸に描く人生ドラマだ。
舞台は1946年、名古屋。第二次世界大戦の終戦後、満州から故郷・名古屋へと帰還した青年・乾空は、闇市で小学校時代の同級生・二河白道と偶然再会する。生気を失った空の様子を心配した白道は、進駐軍の残飯を使って料理を振る舞う。その一皿が、二人の新たな物語の始まりとなる。
「食」と「戦後」という組み合わせが持つ重み
「食べること」を軸に据えた作品はマンガの世界に数多く存在するが、本作が際立っているのは、その舞台設定の重さにある。進駐軍の残飯という、当時の日本の置かれた状況をリアルに反映した素材を料理に使うという設定は、単なるグルメ描写に終わらない深みを予感させる。食べることが生きることと直結していた時代に、何を食べ、どう生きるかを問う構成は、現代の読者にも刺さるものがあるはずだ。
また、満州からの引き揚げという経験を持つ主人公・乾空の「生気のない顔」という描写からは、戦争が個人に刻んだ傷の深さが透けて見える。白道が差し出す料理が、そうした傷をどう癒していくのか——あるいは癒せないのか——という点も、物語の核心になってくるだろう。
戦後の混乱期を舞台にした作品は、史実の重さとエンターテインメントのバランスが難しいジャンルでもある。辻恵がこの題材をどのように料理するのか、今後の展開に注目したい。