養子の妹と実子の姉、縮まらない距離

施設で育ち、5歳のときに福島家に養子として迎えられた衣織。しかし10年後に両親が他界し、親戚の家に預けられるも居心地が悪い日々を送っていた。そんな彼女を引き取ったのが、東京で働く姉の莉子だ。

幼いころから微妙な距離感があった2人は、久しぶりの再会を果たすも、視線は交わらず会話もチグハグ。血のつながらない姉妹という関係性に加え、長い疎遠期間が2人の間に確かな壁を作っている。第1話の冒頭、駅での再会シーンで描かれる衣織の表情——莉子との距離が縮まらない寂しさと諦めがないまぜになった——は、読んでいてなかなかに切ない。

目つき鋭い猫"おじさん"が2人の間に割って入る

本作の公式あらすじは、こんな一文から始まる。

「実子の姉と養子の妹、おじさんを介して私たちは繋がる──。」

「おじさん」という言葉から叔父や伯父を想像した人は、いい意味で裏切られる。その正体は、目つきが鋭く、にゃんたまがチャームポイントの猫である。そして第1話から、このおじさんが大活躍する。

莉子との間でよそいきの会話しかできなかった衣織が、初めて素の言葉を出すきっかけを作るのが、ほかでもないおじさんだ。言葉では埋めにくい距離を、動物ならではの無邪気さでひょいと飛び越えてしまう。この展開が、読者の心をしっかりとつかんでいる。

「現実の彼女はいりません!」の作者が描く、繊細な家族の物語

作者のmikumoは、三雲ジョージ名義でも活動しており、「現実の彼女はいりません!」などを手がけてきた作家だ。人間関係の機微を丁寧に描くことへの定評があり、その筆致がこの作品にも存分に生きている。

養子縁組、親との死別、血縁と家族の意味——テーマとしては重くなりがちな要素を、おじさんというユニークな存在が絶妙に中和している。シリアスになりすぎず、かといって軽くもない。そのバランス感覚こそが、本作の最大の読みどころといえる。

現在、スクウェア・エニックスの「ヤングガンガン」で連載中。衣織と莉子の関係がおじさんを通じてどう変わっていくのか、今後の展開が楽しみな一作だ。