キアヌ・リーブスが演じるのは「創ることを捨てられない男」

リーブスが声を担当するのは、主人公の左甚五郎。「復讐に囚われながらも、創ることへの本能を捨てられない男」と紹介されており、アクションと職人の業が交差する複雑なキャラクターだ。この発表は、第79回カンヌ国際映画祭に併催されたマルシェ・デュ・フィルムのイベント「アヌシー・アニメーション・ショーケース」の場で行われた。クリエイター・脚本・共同監督を務めるカワムラ・マサシ氏と、プロデューサーの松本典子氏が登壇した。

制作体制も豪華だ。カワムラ氏が共同設立したクリエイティブスタジオ「Whatever」が開発を主導し、アニメーション制作をdwarf、美術制作と木製人形のデザインをTECARATが担当。共同監督には、「ポケモン コンシェルジュ」シーズン1・2を手がけた小川郁氏もクレジットされている。

490万回再生の短編から生まれた長編プロジェクト

「HIDARI」はもともと、2023年3月27日にYouTubeで公開されたカワムラ氏の同名コンセプト短編をもとにしている。執筆時点でその短編は490万回近い再生数を記録しており、長編化への期待がいかに高かったかがわかる。2023年にはクラウドファンディングも実施され、1,419人のバッカーから約1,525万円(約96,000ドル)の目標額を達成している。

作品の舞台は江戸時代。熟練の木工職人・彫刻家である甚五郎が、弟子たちの裏切りと事故によって右腕と父親を同時に失い、数十年後に「左」の異名を持つ復讐者として旅に出る。義手を武器に、機械仕掛けの兵士たちと戦いながら、やがて徳川幕府の影にまで迫っていくという重厚なアクション物語だ。

世界が注目する理由

注目すべきは、キアヌ・リーブスというハリウッドを代表するアクション俳優が、日本のストップモーションアニメの主演声優に起用されたという事実だ。「ジョン・ウィック」シリーズで世界的な知名度を持つ彼が、江戸時代の復讐劇という題材とどう絡むのか——その組み合わせだけでも国際的な話題を呼ぶには十分すぎる。

また、木製人形を使ったストップモーションという手法は、CGアニメが主流の現代において極めて希少だ。TECARATによる人形造形のクオリティは短編でもすでに実証済みであり、それを長編スケールで体験できるという点でも、アニメファンのみならず映像表現に関心を持つ層にも広く刺さる作品になりそうだ。

2029年の完成に向け、今後どのような映像が解禁されていくのか、続報に注目したい。