結婚2年目、すれ違う夫婦の物語

本作の主人公は会社員の智。結婚して2年が経つ妻・咲との間に、いつの間にか会話がほとんどなくなってしまっていた。離婚も頭をよぎり始めた智だったが、ふと立ち止まって気づく——自分は妻のことを何もわかっていないし、わかろうともしてこなかったのだと。

意を決して咲に本音をぶつけてみるものの、ふたりの会話はなかなか噛み合わない。「好きなのにわかりあえない」という、多くのカップルや夫婦が一度は経験するであろうもどかしさを、コメディのフィルターを通して描いていく作品だ。

カレー沢薫という作家が描く「夫婦」への期待

カレー沢薫といえば、孤独死を正面から見つめた「ひとりでしにたい」や、うつ病との長い付き合いを描いた「なおりはしないが、ましになる」など、笑いの中に鋭い人間観察と生きづらさへの共感を織り交ぜた作風で知られる作家だ。

今回のテーマは「夫婦のすれ違い」。一見ありふれた題材に見えるかもしれないが、カレー沢薫の手にかかれば、表面上は笑えるやりとりの裏に、コミュニケーションの難しさや「わかりあおうとすること」の意味が滲み出てくるはずだ。「理解のない夫くん」というタイトルのシニカルな響きも、いかにもこの作家らしい。

「夫婦もの」でありながら、夫婦に限らない人間関係全般の話として読めるのがカレー沢作品の強みでもある。恋人同士や友人関係、職場の人間関係に置き換えながら読んでいる読者も多いことだろう。連載が進むにつれて、智と咲がどんなふうに歩み寄っていくのか——あるいは歩み寄れないまま別の形を模索するのか——今後の展開が楽しみな一作だ。