アニメとコミカライズが同時受賞という異例の快挙

第57回星雲賞において、TVアニメ「アポカリプスホテル」がメディア部門を受賞。さらにコミック部門では、竹本泉が手がけたコミカライズ版「アポカリプスホテルぷすぷす」が受賞を果たし、同一IPがアニメとマンガの両部門でダブル受賞という結果となった。

星雲賞は日本SF大会の参加者による投票で選ばれる賞であり、SFファンの支持を直接反映する権威ある賞だ。今回のダブル受賞は、単なる話題性ではなく、作品そのものの質がSFファンコミュニティにしっかりと届いていたことを示している。

文明崩壊後の銀座に佇む「ホテル」という舞台設定

「アポカリプスホテル」は、CygamesPicturesが制作に携わったオリジナルアニメ全12話。舞台は文明崩壊後の東京・銀座の廃墟で、かつて栄華を誇った老舗ホテルが一棟だけ残っている。宿泊客ゼロ、チェックイン予定ゼロ、ウェブサイトのトラフィックもゼロ——という状況の中で、荒廃した世界にひっそりと存在し続けるホテルを巡る物語だ。

ジャンルはコメディ・SF・日常というやや異色の組み合わせで、重厚なポストアポカリプス作品というよりも、どこかユーモラスでのんびりとした空気感が特徴。人類の記憶が薄れていく世界を舞台にしながらも、日常系ならではのゆるやかなテンポで物語が展開する。スコア8.00という高評価も、その独特の魅力が多くの視聴者に刺さった結果だろう。

コミカライズを担当した竹本泉という人選の妙

コミック部門を受賞した「アポカリプスホテルぷすぷす」を手がけたのは、竹本泉。ゆるくてシュールな日常系作風で知られる作家であり、今作のコミカライズにはこれ以上ない適任者とも言える。アニメの雰囲気を壊すことなく、独自の解釈でマンガとして再構築した点が、SFファンにも高く評価された理由のひとつではないだろうか。

アニメ単体ではなく、コミカライズ版が別部門で独立した評価を受けたという事実は、原作の世界観がメディアをまたいでも損なわれなかったことの証明でもある。今後もアニメ・マンガ双方の展開から目が離せない。