新連載「しばいづけ」、ヤングキングBULLで始動

「しばいづけ」は、芝居——演劇や舞台——に魅了された人々を描く作品。タイトルの「しばいづけ」という言葉には、芝居に「漬け込まれた」人間たち、つまり演劇の世界にどっぷりとはまり込んだ者たちへの愛着が感じられる。舞台や演劇をテーマにしたマンガはこれまでにも数多く生まれてきたが、田中現兎という書き手がその世界をどう切り取るかに、早くも注目が集まっている。

掲載誌のヤングキングBULLは少年画報社が発行する青年マンガ誌で、個性的な作家陣と多彩なジャンルの作品を揃えることで知られる。田中現兎の新連載が同誌に加わったことは、誌面にとっても大きなトピックといえるだろう。

「死後出版」の作者が新たな舞台へ

田中現兎といえば、「死後出版」で多くの読者を獲得した実力派作家だ。「死後出版」は、作家の死後に発見された原稿をめぐる物語で、創作と人間の業、そして残されたものたちの感情を丁寧に描いた作品として高く評価されている。文学的なテーマを扱いながらも、読み手の感情を自然に揺さぶる筆致が田中現兎の最大の持ち味だ。

その作家が次に選んだ題材が「芝居」というのは、考えてみれば必然のようにも思える。演劇もまた、人間が何かに憑かれたように打ち込み、時に消耗し、それでも離れられない世界だ。「死後出版」で描いた「創作への執着」と地続きのテーマが、「しばいづけ」にも流れているのではないか——そんな期待を抱かずにはいられない。

「死後出版」のファンはもちろん、演劇や舞台に縁のある読者にとっても刺さる作品になりそうな予感がある。第1話がどんな登場人物を、どんな角度から描き出しているのか、続報や読者の反応とあわせて追っていきたい。