第一回日本ファンタジーノベル大賞の受賞作がついにコミカライズ
本作の原作は、1989年に第一回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した酒見賢一の小説「後宮小説」。受賞と同時に文壇から注目を集め、その後アニメ映画化(1992年、スタジオジブリ出身スタッフが手がけた「雲のように風のように」として知られる作品)もされた、日本ファンタジー文学史において重要な一作だ。今回のコミカライズを手がけるのは漫画家・早瀬明。MAGKANにて第1話が公開されており、試し読みも可能となっている。
純朴な少女が後宮へ——中華風ファンタジーの世界観
物語の舞台は、中国の宮廷をモデルにした架空の王朝。主人公は、ごく普通の、むしろ少しぼんやりとした純朴な少女が、ひょんなことから宮女として後宮に入ることになるというストーリーだ。華やかな後宮の世界を舞台にしながらも、主人公のキャラクターには飾り気がなく、そのギャップが原作小説の大きな魅力のひとつとなっている。
近年、「薬屋のひとりごと」や「后妃の蛊道」など中華後宮ものが大きな人気を集めているジャンルだが、「後宮小説」はそれらよりはるかに先駆けた作品。いわば後宮ファンタジーの「元祖」ともいえる存在が、現代のマンガ読者に向けてどのように再解釈されるのかは、原作ファンにとっても新規読者にとっても見逃せないポイントだ。
早瀬明がこの世界観をどのような絵柄で表現するのか、また原作の持つ独特のユーモアと品格をどう両立させるのか、連載の行方に注目したい。