「やれたかも委員会」の吉田貴司、別マガで新たな恋愛劇を描く
8月7日発売の別冊少年マガジン9月号(講談社)にて、吉田貴司の新連載「元カノカフェ」がスタートした。同号では城生による「御贖事処 煮るばあな」も同時に連載開始となり、2本の新連載が一気に誌面を彩っている。
「元カノカフェ」の主人公は、45歳の売れっ子マンガ家・六貝ツトム。夢を実現し、金にも女にも不自由しない生活を手に入れたにもかかわらず、虚しい日々を送っている。そんなツトムが、元カノとひと時だけ再会できるという不思議なカフェの存在を知ることから物語は動き出す。そこで過去の恋愛エピソードを一つひとつ振り返るうちに、ツトムの人生はじわじわと破滅へと向かっていく——という構成だ。
「やれたかも委員会」から続く、吉田貴司ならではの恋愛の解剖
吉田貴司といえば、「やれたかも委員会」で一躍注目を集めた作家だ。「あのとき、もしかしたら関係を持てたかもしれない」という微妙な男女の機微をユーモアと哀愁で描き、独特のポジションを確立してきた。今作「元カノカフェ」でも、過去の恋愛を掘り起こすという構造は健在で、吉田節とも言える「後悔と甘美が混ざり合った恋愛回顧録」の色が濃く出ている。
ただし、今回は主人公が「成功者」という点が新鮮だ。すべてを手に入れたはずの男が、なぜ虚しいのか。その答えを過去の恋愛の中に探しに行くという設定は、単純な懐古趣味に留まらない深みを予感させる。そして物語が「破滅」へと向かうという予告は、甘い回想譚に終わらない緊張感を読者に与えている。
城生の「御贖事処 煮るばあな」も同時スタート
同号で連載開始となった城生の「御贖事処 煮るばあな」も気になる存在だ。タイトルからして独特の雰囲気を漂わせており、「御贖事処(おあがないどころ)」という聞き慣れない言葉が醸し出す奇妙さは、ただごとではない世界観を予感させる。詳細はまだ明らかになっていない部分も多いが、吉田作品とは対照的なトーンで別マガの新たな読み口を作る一本になりそうだ。
2本の新連載が同時にスタートした今号の別冊少年マガジンは、それぞれの作風がまったく異なるだけに、誌面全体の厚みという意味でも注目に値する。吉田貴司が「元カノカフェ」でどんな破滅劇を見せてくれるのか、今後の展開が待ち遠しい。