松本大洋原作の劇場アニメ「鉄コン筋クリート」のリバイバル上映において、一部劇場での35mmフィルム上映が決定した。あわせて追加上映劇場も発表され、ファンの間で早くも大きな話題となっている。

今回の35mmフィルム上映は、2006年の公開当時に映画館で体験できた映像の質感をそのままに届けるという、デジタル上映全盛の現代においては極めて貴重な試みだ。フィルム特有の粒子感や色の乗り方、映写機の光が織りなす独特の雰囲気は、デジタルリマスターとはまた異なる体験をもたらしてくれる。追加劇場の詳細については公式サイトでの確認が推奨されている。

「鉄コン筋クリート」は、「ピンポン」「花男」などで知られる漫画家・松本大洋の同名コミックを原作とした劇場アニメ作品。監督はマイケル・アリアス、制作はStudio 4°Cが担当し、国内外で高い評価を獲得した一作だ。

舞台となるのは「宝町」と呼ばれる荒廃した大都市。クロとシロという名の孤児の二人組が、ギャングやヤクザと渡り合いながら街の縄張りを守って生きている。そこへ邪悪な企業が現れ、宝町を更地にしてアミューズメントパークへと作り変えようと画策する。街の存亡をかけた戦いの中で、クロは内なる暗闇と向き合い、シロは兄を守ろうと懸命に手を伸ばす——アクションと心理描写、そして超自然的な要素が絡み合う、重厚な物語だ。

この作品が今なお語り継がれる最大の理由のひとつは、Studio 4°Cが生み出した圧倒的なビジュアルにある。手描きの線の荒々しさとデジタル処理を融合させた独特の画面設計は、公開から約20年が経った今見ても色あせるどころか、むしろその先鋭さが際立つ。宝町の雑然とした街並みを縦横無尽に飛び回るクロとシロのアクションシーンは、スクリーンで観てこそ真価が伝わるものだ。

そのビジュアルを、あえてデジタルではなくフィルムで上映するという今回の判断は、単なるノスタルジーではない。松本大洋の原画が持つアナログな筆致と、フィルム映写の質感は本質的に相性が良く、当時の観客が劇場で受け取った感動をより忠実に再現できるという意味でも、意義深い選択といえる。

リバイバル上映という形でこれだけ丁寧に作品と向き合う機会が設けられたことは、「鉄コン筋クリート」がいかに特別な位置づけの作品であるかを改めて示している。初めて触れる若い世代にとっても、当時劇場で観たファンにとっても、フィルム上映という体験は特別な記憶になるはずだ。今後の上映スケジュールや劇場情報の続報に注目したい。