澄ヒビトによる新連載「打ち切られ漫画家と同人女」が、2025年3月30日より少年ジャンプ+にて連載をスタートした。初日から第1話・第2話の2話分が一挙公開されるという力の入ったスタートを切っている。

物語の主人公は、ペンネーム「RO傍(ろぼう)」こと道下行来(みちしたゆくる)。彼が連載していた作品「ゴブリンキング」は打ち切りを宣告されてしまい、意気消沈した状態から物語は幕を開ける。そんな失意のどん底にいる行来のもとに、自分のマンガの同人誌が即売会で頒布されるという情報が舞い込む。同人イベントにはまったく縁のなかった彼だが、ファンへのお礼を兼ねて足を運ぶことを決意。そこで「ゴブリンキング」の同人誌を手がけている女性・チリタと出会い、正体を明かさないまま距離を縮めていく——というすれ違いコメディだ。

本作は、もともとSNSでトレンド入りを果たした読み切り版が好評を博したことで、連載化が実現した経緯を持つ。読み切りの段階からすでに多くのファンを獲得していただけに、連載版への期待値は発表前から相当高まっていた。

「打ち切られ漫画家と同人女」というタイトルが秀逸で、マンガ業界の内側と同人文化という、どちらもコアなオタク層には刺さる題材を掛け合わせているのが最大の魅力と言える。打ち切りというマンガ家にとって最も辛い経験を入口にしながら、そこに同人誌文化やイベントの空気感をリアルに描いてくれそうな予感がある。

また、「作者が自分の作品の同人誌を買いに行く」という設定は、ファン活動をしている読者なら思わずニヤリとしてしまうような絶妙なシチュエーションだ。チリタが行来の正体を知らずに交流を深めていく構図は、すれ違いコメディとして王道でありながら、マンガ・同人というニッチな舞台設定がユニークなフレーバーを加えている。

少年ジャンプ+はこれまでも「チェンソーマン」「SPY×FAMILY」「怪獣8号」など、後にアニメ化・メディアミックスへと発展した作品を多数輩出してきたプラットフォームだ。読み切り時点でのSNSの反響を見る限り、本作もそのポテンシャルを十分に秘めていると感じる読者は少なくないだろう。

連載開始直後から2話分を一気に読めるという太っ腹な公開スタイルも、新規読者を取り込む戦略として効果的だ。同人文化に馴染みのある読者はもちろん、マンガ業界の裏側に興味がある人にも入りやすい作品になっている。今後のストーリー展開や、行来とチリタの関係がどう動いていくのか、続報に注目したい。