週刊少年マガジン(講談社)で連載中の田中ドリル氏によるマンガ「スルガメテオ」が、独自のキャラクター設定と青春野球の物語で注目を集めている。「野球の実力は尻を見ればわかる」という一風変わった切り口から始まる本作は、読めば読むほど奥深い青春スポーツマンガとしての顔を見せてくれる。

物語の舞台は星群高校の新設野球部。去年まで人数不足で同好会扱いだったという、弱小どころか存在自体が危うかった部活だ。キャプテンの甲斐陽人は部を立て直すべく、ある独自の基準でルーキーを探している。その基準こそが「尻」。陽人は「野球の実力は尻を見ればわかる」という持論を持っており、入学式の日から"いい尻"を探して校内を歩き回っている。

そんな陽人が出会ったのが、1年生の駿河彗だ。内気でどちらかといえば目立たない性格の彼だが、その尻は陽人の目に「これだ」と映った。スカウトされた駿河は一度は断るものの、やがて彼がピッチングマシン「スルガメテオ」の"中身"、つまり160km/hの剛速球を投げる本人だったことが明かされる。この引きの上手さは、序盤から読者を離さない。

「スルガメテオ」というタイトルは、主人公の名前「駿河」と流星を意味する「メテオ」を組み合わせたもの。160km/hという数字は高校野球どころかプロ野球でも超一流の領域であり、そんな規格外の才能を持ちながら内気で人との交流が苦手な少年が、野球を通じてチームプレイや仲間との絆を学んでいく。王道といえば王道だが、入口の設定がとにかく個性的だ。

作品のユニークな点は、ギャグとシリアスのバランスにある。「ケツ探し」というコミカルな発端でありながら、弱小チームの成長や駿河の内面の変化はしっかりとしたドラマとして描かれている。田中ドリル氏の絵はキャラクターの表情豊かで、特に駿河の戸惑いや照れといった細かな感情表現が丁寧だ。

スポーツマンガというジャンルにおいて、主人公が「すでに規格外の才能を持っている」パターンは珍しくないが、本作の面白さはその才能が本人にとってコンプレックスや戸惑いの源でもある点にある。尻を褒められることへの複雑な感情、野球部への馴染めなさ、それでも少しずつ変わっていく駿河の姿は、スポーツマンガ読者だけでなく青春マンガとして幅広い層に刺さる可能性を持っている。

週刊少年マガジンというプラットフォームは「ダイヤのA」や「BE BLUES!」など野球・サッカーの名作を生み出してきた土壌でもあり、「スルガメテオ」がその系譜に続く作品になるかどうかは、今後の展開次第だ。現在連載中の本作、まだ読んでいないなら1巻から手に取ってみる価値は十分にある。