椹木伸一原作・ガス山タンク作画によるミステリーラブコメ「ペンと手錠と事実婚」のTVアニメ化が正式発表され、特報PVが公開された。原作者自身が「アニメ化は絶対に無理」と思っていたという異色のヒロイン像が、どのような形でアニメとして描かれるのか、早くも注目が集まっている。

スケッチブックで会話するヒロインという、前代未聞の設定

本作の最大の特徴は、メインヒロインである梔子鶫(くちなしつぐみ)が一言も言葉を発しないという点にある。鶫は自ら話すかわりにスケッチブックに文字や絵を書いて会話するキャラクターで、しかもその絵は本人いわく"ド下手"。それでも、その絵を通じて巧妙な殺人事件の真相を次々と暴いていくという、なんとも型破りな探偵役を務める。

相棒となるのは、現場一筋の生真面目な中年刑事・切鮫鋭二(きりさめえいじ)。世代も立場も大きく異なるふたりが事件を通じて距離を縮めていく中、逆恨みした犯人に命を狙われた鶫を切鮫が間一髪で救出。その直後、鶫から突然の求婚を受けてしまい——という展開が、作品のラブコメ軸を動かしていく。ミステリーとしての緊張感と、年の差バディならではのおかしみが絶妙に絡み合う構成は、ヤングアニマル(白泉社)連載開始以来、多くの読者を惹きつけてきた。

累計40万部突破の人気作が、いよいよアニメへ

現在単行本は6巻まで刊行されており、累計発行部数は40万部を突破。決して派手な数字ではないが、口コミで着実にファンを増やしてきた作品であり、アニメ化によってさらなる認知拡大が期待される。

今回公開された特報PVは原作カットを使用したもので、尺は短いながらも鶫と切鮫それぞれのキャラクター性がしっかりと伝わる仕上がりになっている。テンポよく編集された映像からは、作品のコメディとシリアスが混在する独特のリズム感が感じ取れる。

注目したいのは、原作者の椹木伸一氏が「ヒロインが一言もしゃべらない作品なので、アニメ化は絶対に無理だろうと思っていた」とコメントしている点だ。声優というメディアの根幹を担う存在が、主人公にとって機能しないかもしれないという逆説——これをスタッフがどう乗り越えるかが、本作のアニメとしての最大の見どころになるはずだ。鶫の「声なき存在感」を映像と音楽、そして演出でどう補完するか、制作陣の腕の見せ所といえる。

キャスト・スタッフ・放送時期といった詳細はまだ明かされておらず、続報が待たれる状況だ。無口なヒロインが動き出す瞬間を、続く情報とともに見届けたい。