"ヤバい人"を引き寄せる少女と、その裏の顔
本作の主人公は、誘まねきという少女。彼女には特殊な体質があり、いわゆる"ヤバい人"を無意識のうちに引き寄せてしまう。絡まれ、騙され、理不尽な目に遭い続ける彼女だが、実はもう一つの人格「向クダキ」を内に秘めている。この裏の人格は、まねきに災いをもたらした相手を容赦なく懲らしめる存在だ。
物語は大きく二つの軸で展開する。まねきが理不尽な災難に遭遇するパートと、向クダキが"ヤバい人"にリベンジを果たすパート。この対比が本作最大の読みどころであり、理不尽な目に遭うたびに積み上がるストレスが、向クダキの登場で一気に解放される構造は、読者に強いカタルシスを与えてくれる。
洋介犬が描く、ちょっとダークな痛快劇
作者の洋介犬は、独特のキャラクター造形とテンポのよい展開で人気を集める漫画家だ。本作でも、"ヤバい人"のキャラクター描写にリアルな気持ち悪さと漫画的な誇張が絶妙に混ざり合っており、読んでいて「あるある」と感じさせるシーンが随所に盛り込まれている。
二重人格を持つ主人公というテーマ自体は珍しくないが、「引き寄せ体質」という設定と組み合わせることで、単なるダークヒーロー譚とは一線を画した構造になっている。まねきが受け続ける理不尽がリアルであるほど、向クダキの反撃が映える。この計算された落差こそ、本作の肝だろう。
ヤバい人間との遭遇と、容赦ないリベンジ。この繰り返しの中で、まねきというキャラクターの内面がどのように掘り下げられていくのか、今後の巻に向けて期待が高まる。