霊の存在が「常識」になった世界

「呪ロ」の舞台は、2046年の近未来。この世界では、かつては一部の人間にしか感知できなかった霊の存在が、科学的に完全に解明されている。誰の目にも見え、その存在が社会的に認知されているという設定は、霊や呪術をテーマにした従来の作品とは一線を画すユニークな切り口だ。

霊が「見える・見えない」という非対称性をドラマの核に置く作品は多いが、「呪ロ」はその前提をひっくり返すことで、まったく異なる物語の地平を切り開こうとしている。霊が当たり前に存在する社会で、人間はどう生き、何と向き合うのか——武井宏之らしいスケールの大きな問いが、この設定には込められている。

「SHAMAN KING」の作者が仕掛ける新境地

武井宏之といえば、1998年から「週刊少年ジャンプ」で連載された「SHAMAN KING」を生み出した作者として知られる。シャーマンと霊を題材にした独自の世界観と、個性豊かなキャラクター造形で多くのファンを獲得し、2021年にはアニメが完全新作として再アニメ化されるなど、現在も根強い人気を誇る作品だ。

その武井宏之が、再び「霊」をテーマに据えた新作に挑む。「SHAMAN KING」では霊を視る力が特別な才能として描かれていたが、「呪ロ」ではその前提を社会レベルで覆している点が興味深い。同じ題材でも、まったく別の角度からアプローチしてくる姿勢は、作家としての引き出しの多さを感じさせる。

原作ファンにとっては、武井節とも言えるダイナミックな画風や独特の世界観構築が新作でどう発揮されるかが最大の見どころになるだろう。一方で、「SHAMAN KING」を知らない読者にとっても、近未来設定という間口の広さは入りやすいはずだ。

第1巻の発売を皮切りに、この独特の世界観がどう広がっていくのか、続巻の展開に引き続き注目したい。