29歳、同居スタート。でも恋心はない
主人公は幼なじみの内藤ケイスケと池畑メグミ。ふたりは幼い頃に「30歳になってもお互い独身だったら結婚しよう」という約束を交わしていた。それから18年が経ち、29歳になったふたりは同居生活を始めることになる——ただし、現時点では互いに恋愛感情はない。
タイムリミットまであと1年。恋心のないまま始まった同居が、どんな化学反応を起こしていくのか。そのじりじりとした距離感こそが、この作品の核心だ。
「いけない二人」とはどんな作品か
作者の稲岡和佐は、じっくりと感情を積み上げていく繊細な恋愛描写に定評のある作家。「いけない二人」は、そんな稲岡作品らしい、甘さと焦れったさが同居するラブコメ作品となっている。
設定として面白いのは、「約束」がすでに存在しているという点だ。ふたりの関係はゼロから始まるのではなく、幼少期の記憶と18年分の時間を背負っている。それでも恋心がないという状況は、読者に「いつ、どんなきっかけで気持ちが動くのか」という期待を自然に抱かせる構造になっている。
「タイムリミット系」ラブコメの新定番になるか
近年、期限や条件つきの関係から恋愛が芽生えていく「タイムリミット系」あるいは「契約系」ラブコメは、マンガ・アニメを問わず根強い人気ジャンルとして定着している。「いけない二人」はその系譜に連なりながらも、幼なじみという長年の関係性と1年というカウントダウンを組み合わせることで、独自の緊張感を生み出している。
恋愛感情なしに始まる同居生活は、日常の描写がそのまま感情の変化を映す鏡になる。些細なシーンの積み重ねが、どこで決定的な「変化」として結実するのか——原作ファンとしてはそこを追いかける楽しみが大きい。
第1巻の発売を皮切りに、今後の展開と続刊情報に注目していきたい。