日本神話を源流に持つ、紙に描くオリジナルファンタジー

「OROCHI -Seventh Echoes-」は、子どもから大人まで楽しめるアドベンチャーファンタジー作品として位置づけられている。原作はBLUE RIGHTSのオリジナルストーリーで、同社は木村氏がMAPPAを退社後に設立したスタジオだ。現在はパイロット版の段階だが、最終的な本編の上映時間は約1時間30分を予定。制作手法として紙への手描きアニメーションが採用されており、デジタル全盛の現代においてあえてアナログの質感にこだわる姿勢が見える。

物語のあらすじはこうだ。「ヒズミ」と呼ばれる禁断の力を持って生まれた王子アグニは、誕生と同時に捨てられてしまう。千年前の裏切りから生まれた復讐の霊・オロチが目覚め、世界が滅亡の危機に瀕するなか、アグニは憎しみの連鎖を断ち切るべく自らの宿命に立ち向かう——。「八岐大蛇」を彷彿とさせる「オロチ」という存在、そして王子の旅という構図は、日本神話の世界観を現代的な視点で再解釈したものといえるだろう。

豪華なクリエイター陣が示す、作品への本気度

注目すべきは、このプロジェクトに集まったクリエイターの顔ぶれだ。監督の中村孝之氏は、大友克洋監督の金字塔「AKIRA」(1988年)で作画監督を担当した人物。あの緻密で圧倒的な作画クオリティを支えた職人が、今回は自ら演出の座に立つ。一方、プロデューサーの木村誠氏は、MAPPAで「チェンソーマン」第1期や「呪術廻戦」といったメガヒット作品を支えてきた実績を持つ。制作の現場を熟知したふたりがタッグを組むことで、クリエイティブと興行の両面に目配りの利いた作品になることが期待できる。

また、パイロット版はMIFAの「グローバル・アニメ・チャレンジ(GAC)」パネルに参加。GACはクリエイターが独自IPを育て、グローバルな視野を獲得することを支援するプロジェクトで、スタジオKinema Citrus、文化庁のクリエイター支援基金、日本芸術文化振興会といった国内の主要な支援機関がバックアップに名を連ねている。

「OROCHI -Seventh Echoes-」は、現時点ではまだパイロット段階。しかし、この布陣と手描きへの執念を見るかぎり、正式な長編映画としての完成形には大きな期待が持てる。今後の続報に注目したい。