記憶喪失の青年と、すべてを見通す少女の出会い

物語の主軸となるのは、半月ほど前に何者かに殴られ記憶を失った一人の青年だ。ある日、「3食昼寝付き、経歴不問」という破格の条件が書かれた奉公募集の貼り紙を見つけた彼は、藁にもすがる思いで連絡を入れる。現れたのは、病気の母に代わって当主を務めるという少女・耳森夜行。彼女は目が見えないにもかかわらず、あらゆる物事を見通す千里眼の持ち主だという。そして仕事内容には、奇妙なルールに縛られた「昼寝」が含まれていて——という謎めいた設定が、物語の入り口として機能している。

目が見えないのに、すべてが見えるという逆説的なヒロイン像は、それだけで強烈な引力を持つ。記憶のない青年と、見えないはずのものを見る少女。二人の間に横たわる秘密が、どのように解き明かされていくのかが最大の見どころになりそうだ。

電子配信から誌面連載へ——注目作がついに本格始動

「夜行の眼」はもともと各電子書店で単話版が配信されていた作品で、今回の月刊flowers掲載はその誌面連載化という形になる。すでにデジタルで読んでいたファンにとっては待望の展開であり、一方で今回が初読みというflowers読者にとっても、ゼロから追いかけられる絶好のタイミングだ。

作者のわか眉ぎんは、独特の世界観と繊細な画風で着実にファンを増やしてきた作家。ダークファンタジーというジャンルに少女漫画誌らしい情緒を組み合わせるスタイルは、flowers誌との相性という点でも期待が高まる。

なお今月号には、吉田秋生「BANANA FISH」のセレブレーションカード6枚セットが付録として登場。8月12日のアッシュ・リンクスの誕生日を記念したデザインで、こちらも読者の注目を集めている。

「夜行の眼」が今後どのような謎を積み重ね、どんな結末へと向かうのか——次号以降の展開から目が離せない。