「少女終末旅行」が描いた世界の"前"に何があったのか。その問いに、作者自身が正面から向き合う新作がついに動き出した。
「階層都市断片集」、本日より連載開始
つくみずの新連載「階層都市断片集」が、2025年6月26日に新潮社のウェブコミックサービス「くらげバンチ」にて第1話を公開した。本作は「少女終末旅行」の世界観を共有する前日譚にあたる作品で、チトとユーリが旅した廃墟の階層都市がいかにして形成されたのかを描く内容とみられる。
「くらげバンチ」はこれまでも「ヴィンランド・サガ」「波よ聞いてくれ」など骨太な作品を多数掲載してきたプラットフォームであり、つくみず作品の新たな連載先としては意外性もありつつ、作風の親和性という意味では納得感のある選択だ。
「少女終末旅行」とはどんな作品か
「少女終末旅行」は、つくみずが2013年から2018年まで自身のサイトおよびくらげバンチで連載した終末SFマンガ。文明が崩壊した世界の廃墟を、少女ふたり——チトとユーリ——がケッテンクラートで旅する物語だ。戦争の痕跡や朽ちた機械、忘れ去られた宗教の残骸が積み重なった巨大な階層構造の都市を舞台に、生と死、文明と記憶をテーマとした静謐な語り口が多くの読者の心を掴んだ。
2017年にはホワイトフォックス制作でテレビアニメ化され、原作の空気感を丁寧に再現した映像表現が高く評価された。全6巻で完結した原作は、その余韻と謎の多さゆえに今なお根強いファンを持つ作品である。
原作ファンが注目すべき理由
「少女終末旅行」の世界には、意図的に語られなかった空白が多い。あの都市はなぜあれほど巨大になったのか。かつてそこに住んでいた人々は何者で、どのように滅んでいったのか。本編では断片的な遺物や壁画を通じてのみ示唆されていたその歴史が、「階層都市断片集」では直接描かれる可能性がある。
つくみずが自ら前日譚を手がけるという事実は、単なるスピンオフとは意味合いが異なる。原作者が「あの世界にはまだ描くべきものがある」と判断したということであり、完結した物語の解像度が上がることへの期待は非常に大きい。一方で、あえて謎のままにしておいた部分が明かされることへの複雑な心境を抱くファンも少なくないだろう。その緊張感も含めて、本作の連載は見逃せない。
第1話はすでにくらげバンチにて公開中。今後の更新ペースや物語の全容については続報を待ちたい。