無名爛漫とは 記念フィギュアに合わせた特別短編

今回の短編は、キャラクター「無名」の新作スケールフィギュア「無名爛漫」の発売を記念して制作されたもの。内容は、無名がイコマの気を引こうとおしゃれに着飾るところから始まるが、甲鉄城がカバネの襲撃を受けたことで二人の穏やかなひとときが一変する、というオリジナルストーリーとなっている。

スタッフは、2016年のオリジナルアニメを手がけたメンバーがほぼそのまま集結した。原作・企画・絵コンテ・監督を荒木哲郎、脚本を岡田麿里と並んで本作を支えた大河内一楼、キャラクターデザインを江原康之、総作画監督を門脇聡、そして音楽は澤野弘之が担当。アニメーション制作はもちろんWIT STUDIOが務める。

キャストも本編から続投。無名役の千本木彩花、生駒役の畠中祐をはじめ、鍛冶花役の沖佳苗、来人役の佐藤健輔、生真役の新宮凛之介ら主要キャストが再び声を吹き込んでいる。エンディングテーマには、本編でも使用されたAimerとchelly(EGOIST)による「ninelie」が起用された。作詞・作曲・編曲はいずれも澤野弘之によるもので、当時の空気を呼び起こす選曲といえる。

あわせて、原作キャラクターデザインを担当したみきもと晴彦による記念イラスト「無名爛漫」も公開された。フィギュアのビジュアルとも連動したこのイラストは、10周年という節目を祝うにふさわしい一枚となっている。

スチームパンク×ゾンビアクションの傑作が10年を迎えた

『甲鉄城のカバネリ』は、産業革命期を思わせるスチームパンク的な世界観を舞台に、不死の怪物「カバネ」と人類の闘いを描いたオリジナルアニメ。鋼鉄の心臓を持つカバネに噛まれた人間は感染して理性を失い、やがてカバネと化す。人々は各地の「駅」と呼ばれる砦に身を潜め、装甲蒸気機関車「駿城」だけが安全な移動手段という閉塞した世界が舞台だ。主人公の少年・生駒は、カバネへの対抗手段を独自に開発しながら戦いに身を投じていく。

WIT STUDIOが『進撃の巨人』で培った絶望的な世界観の構築力と、澤野弘之の圧倒的なスコアが合わさり、2016年の放送当時は大きな話題を呼んだ。全12話ながら密度の高い物語と、荒木監督らしいテンポの演出が光る一作だ。

10年越しの再集結が示すもの

注目したいのは、短編とはいえオリジナルスタッフがほぼ全員揃っての制作という点だ。荒木監督が自らコンテを切り、澤野弘之が音楽を担当し、キャストも続投する。これは単なる記念グッズの販促映像ではなく、作品への本気の向き合い方を感じさせる布陣といえる。

フィギュアやイラストと連動した形で始動した今回の10周年プロジェクトが、今後どのような展開を見せるのか。短編の公開を皮切りに、さらなる動きが出てくることを期待したい。