中学校にも通わず、自宅で働く13歳のCEO

本作の主人公は、13歳にして起業家として活動する佐久間りん。中学校には通わず、兄の晴人と2人暮らしをしながら自宅で仕事に没頭する日々を送っている。仕事そのものへの不満はないものの、黙々と1人で作業し続ける生活に、どことなく孤独感を抱いていた。

そんなりんの前に突然現れるのが、はとこにあたる29歳のニート・田中みやこだ。仕事が大好きなりんと、仕事が大嫌いなみやこ——価値観がまるで正反対の2人に、りんの兄・晴人を加えた3人の同居生活が幕を開ける。

なぜこの設定が刺さるのか

「13歳のCEO」という設定は一見ファンタジーに聞こえるが、近年の子ども起業家ブームやホームスクーリングへの関心の高まりを考えると、現代的なリアリティを感じさせる切り口でもある。一方の「29歳ニート」は、働くことへの向き合い方に悩む世代にとって共感しやすいキャラクターになりそうだ。

この2人の組み合わせが絶妙なのは、単純な「できる子とダメな大人」の対比に終わらない可能性を秘めているからだ。仕事に全力投球するあまり孤独を感じているりんと、社会との接点を失いながらも何かを持て余しているみやこ——互いに相手が持っていないものを補い合う関係性に発展していくとすれば、笑いの中にじんわりとした温かさのある作品になるのではないかと期待できる。

作者の雨水汐は、日常系のコメディを得意とする作家として知られており、キャラクター同士の掛け合いの妙を活かした作風が本作にも存分に発揮されることだろう。掲載誌のまんがホームは4コマ・日常系マンガを中心に据えた芳文社の月刊誌で、こうした「ちょっとクセのある人たちの日常」を描く作品との相性は抜群だ。

連載が始まったばかりの本作、今後どんなエピソードで3人の関係が深まっていくのか、続報に注目したい。