まか子によるコミカライズ作品「皇帝家の七男だが剣よりスコップが得意で困っている」の第1巻が、2025年3月27日に徳間書店のリュウコミックスユニコーンより発売された。原作はふつうのにーちゃんが手がける小説作品だ。

本作の主人公は、皇帝家に生まれた七男という立場でありながら、剣の才能よりもスコップの扱いに長けているという一風変わった皇子。タイトルからも伝わるように、ファンタジー世界における「騎士の剣」という定番を真正面から裏切り、農具であるスコップを武器として悪に立ち向かう設定が最大の個性となっている。さらに「忌み子」という不遇な出自や、奇書に導かれるという要素が加わり、単なるコメディにとどまらない重層的な物語が展開されるようだ。

原作小説はウェブ上で発表された作品で、独特の設定と軽妙なテンポが読者の支持を集めてきた。コミカライズを担当するまか子は、そのユニークな世界観をどのように視覚化するかという点で注目を集めており、第1巻の発売はファンにとって待望の一冊となっている。

このジャンルでは「最強の主人公が常識外れの手段で無双する」というパターンが人気を博しているが、本作はそこに「忌み子」という社会的な疎外感や、七男という家族内での序列の低さを絡めることで、単純な爽快感だけでない読み応えを生み出している。スコップという道具の選択も、貴族社会への皮肉や庶民的な泥臭さを象徴しているようで、設定の奥行きを感じさせる。

断罪ファンタジーとしての側面も見逃せないポイントだ。近年の異世界・ファンタジー漫画では、悪役や理不尽な権力者を主人公が痛快に裁く「断罪もの」が根強い人気を誇っている。本作はその流れに乗りつつも、スコップという異色の武器と忌み子という出自が掛け合わさることで、他作品とは一線を画した個性を打ち出している。

リュウコミックスユニコーンはこれまでも個性的なファンタジー作品を多数送り出してきたレーベルであり、本作のラインナップ入りはその方向性にも合致している。原作ファンはもちろん、ファンタジー漫画を広く楽しむ読者にとっても、手に取る価値のある一冊といえるだろう。

今後の巻での展開や、原作のどのエピソードがどう描かれるかも含め、続報に引き続き注目していきたい。