水澤ナオによるコミカライズ作品「アラフォー警備員の迷宮警備 ~【アビリティ】の力でウィズダンジョン時代を生き抜く~」の第1巻が、3月27日に徳間書店のリュウコミックスユニコーンより発売された。原作は日南佳による小説で、今回その漫画版がいよいよ世に出た形となる。
本作の舞台となるのは、ダンジョンが日常に溶け込んだ「ウィズダンジョン時代」と呼ばれる世界。そこではダンジョンの管理・警備が一つの職業として確立されており、主人公のアラフォー警備員がその最前線に立つ。特殊なアビリティを駆使しながら、迷宮という非日常的な空間を守り抜くという設定が本作の核となっている。
ファンタジー世界にありがちな「勇者が魔王を倒す」という王道路線ではなく、あくまで「警備員」という地に足のついた職業を主軸に据えているのが本作の大きな特徴だ。しかも主人公はアラフォーという、ライトノベル・コミック界では珍しい年齢設定。若い天才ではなく、人生経験を積んだ中年男性が活躍するという構図は、同世代の読者にとって共感しやすいだけでなく、新鮮な読み心地をもたらしてくれる。
近年、異世界転生や職業系ファンタジーのジャンルでは「一般人視点」の物語が根強い人気を誇っている。魔王でも勇者でもない、普通の仕事をこなす人間がファンタジー世界を生き抜く姿は、現実社会で働く読者の琴線に触れやすい。本作もその流れに乗りながら、「ダンジョン警備」という独自のニッチを突いた設定で差別化を図っている点が興味深い。
コミカライズを担当する水澤ナオの画力と演出がどこまで原作の世界観を引き出せているかも、今後の注目ポイントの一つだ。徳間書店のリュウコミックスユニコーンレーベルはジャンル系コミカライズに積極的なレーベルであり、本作がシリーズとして長く続いていくかどうかも、この第1巻の反響次第といえるだろう。
原作小説のファンはもちろん、「ちょっと変わった職業系ファンタジー」を探している読者にとっても、手に取る価値がある一冊になりそうだ。今後の続巻情報やアニメ化・メディアミックス展開にも、引き続き注目していきたい。