筒井いつきによるコミカライズ作品「めんとりさま」の第1巻が、2025年3月27日にKADOKAWAの電撃コミックスNEXTより発売された。原作はカムリの小説で、じっとりとした田舎の空気と血族に巣食う因習を描いたホラー作品だ。

物語の発端は、1人暮らしをする祖母の様子を見に訪れた主人公が、その土地に古くから根付く禁忌と向き合うことになるというもの。立ち入り禁止の暗い蔵、口をつぐむ地域の人々、そして血族の中だけで語り継がれてきた「めんとりさま」という存在が、静かに、しかし確実に読者の背筋を凍らせていく。

因習ホラーというジャンルは、ここ数年で国内外のフィクションにおいて大きな盛り上がりを見せている。都市から離れた閉鎖的なコミュニティ、よそ者には決して明かされない慣習、そして世代を超えて受け継がれる恐怖——これらの要素が組み合わさったとき生まれる独特の息苦しさは、ホラー好きにとってたまらない魅力がある。「めんとりさま」はまさにそのど真ん中を狙った作品と言えるだろう。

注目したいのは、この作品のビジュアル面だ。「じっとりした田舎の空気」という表現がそのまま当てはまるような、湿度と陰影を感じさせる作画が、原作小説の持つ雰囲気を丁寧に拾い上げている。ホラー作品においてコミカライズの成否を分けるのは、まさにこういった空気感の再現であり、筒井いつきの表現力がどこまで原作の恐怖を増幅させているか、実際に手に取って確かめてほしいポイントだ。

原作小説のカムリは、独特の世界観構築で読者を引き込む書き手として知られており、そのコミカライズがKADOKAWAの電撃コミックスNEXTというプラットフォームで展開されることにも注目が集まっている。電撃コミックスNEXTはジャンルの幅が広く、こうした硬派なホラー作品も積極的に扱ってきた実績がある。

因習ホラーの肝は「見せすぎないこと」にある。何が禁忌なのか、なぜ蔵に入ってはいけないのか、「めんとりさま」とは一体何者なのか——謎が謎のまま積み重なっていく過程こそが恐怖の本質だ。1巻を読み終えた後に残る「もっと知りたい、でも知るのが怖い」という感覚が、この作品の最大の武器になりえる。

今後の巻での展開とともに、原作小説を知るファンの反応にも引き続き注目していきたい。