『ピンポン』『鉄コン筋クリート』で知られる漫画家・松本大洋が、ビッグコミックオリジナルで新連載「南蛮人」をスタートさせた。4月20日発売の同誌9号より連載が始まっており、フランス人漫画家シリル・ペドロサの原案を元にした歴史物語となっている。

鉄砲伝来の地・種子島で始まる出会いの物語

舞台は室町時代の種子島。日本史の教科書にも登場する「鉄砲伝来の地」として知られるこの島に、傷ついた赤髪の大男が流れ着くところから物語は幕を開ける。浜辺でその異人を発見したのは、元漁師の正兵衛。彼は大男を村外れの家へ連れ帰り手当てをするが、その一方で村人たちは見慣れない異人の存在に騒然となる——という導入だ。

言葉も文化も異なる者同士の接触という、普遍的でありながら現代にも響くテーマを、史実の舞台を借りて描こうとしていることが伝わってくる。「南蛮人」というタイトルが持つ歴史的な重みと、松本大洋の独特の画風がどう絡み合うのか、第1話を読んだだけでも期待が高まる。

松本大洋×シリル・ペドロサという異色のタッグに注目

今回の連載で特筆すべきは、フランス人漫画家シリル・ペドロサが原案を担当しているという点だ。ペドロサはフランスのバンド・デシネ(BD)界を代表する作家のひとりで、繊細な人間描写で高い評価を受けている。日本の漫画家とヨーロッパのBD作家がタッグを組む試み自体、きわめて珍しい。

松本大洋といえば、独自の線と余白の使い方、そして登場人物の内面を静かに浮かび上がらせる演出力に定評がある。異文化が衝突し、やがて理解へと向かうかもしれないこの物語は、まさに彼の作家性と重なる題材だ。原作者がヨーロッパ人であるという事実が、「南蛮人=外から来た者」というテーマに二重の意味をもたらしているようにも感じられる。

松本大洋の前作や関連作品を追ってきたファンにとっては、歴史劇という新たなフィールドへの挑戦がどのような化学反応を生むのか、連載の行方を見届けたいところだ。今後の展開と単行本化の情報にも引き続き注目していきたい。