「選別」された少女と、彷徨う男の出会い

本作の主人公・ニケ(15歳)を演じるのは堀田真由。ニケは、18歳になった時点で「世界に必要かどうか」を判定される選別制度が存在する社会で、すでに早々に選ばれた存在だ。しかし特別な地位を得ながらも、彼女は孤立感と自分の居場所探しに苦しんでいる。

一方、マスを演じるのは高橋一生。家族を失った痛みを抱え、全身に刺青を刻みながら日々をさまよい続ける男で、そんな彼がニケと運命的に出会うことになる。

公開されたティザー映像では、この二人の初めての会話シーンを通じて関係性の萌芽が描かれており、挿入歌には羊文学の「Sugar」が使用されている。映像の空気感と楽曲の相性が絶妙で、作品の世界観をひと足先に体感できる内容となっている。

夏目真吾×MADHOUSEが描く、労働なき未来社会

物語の舞台は、労働が不要になった未来。社会が一人ひとりの価値を選別プロセスで決定するという、どこかディストピア的な設定が背景にある。テーマとして据えられているのは、人間の心に潜む言語化できない感情「ゴースト」。ニケの孤独な戦いと、他者との交流を通じて生まれる心の葛藤が、物語の核心を成している。

監督・脚本を務める夏目真吾は、「ワンパンマン」第1期、「ソニーボーイ」、「ACCA13区監察課 Regards」といった個性的な作品を手がけてきたアニメ界随一の鬼才。本作は彼にとって初の劇場用オリジナル長編作品となる。発表当初、夏目監督は「アニメーションというフィクションの形を借りながら、時代の精神を反映し、リアリティを追求した作品を作りたい」と語っており、その言葉通りの重量感が映像からも伝わってくる。

スタッフ面でも注目点が多い。キャラクター原案は漫画家の萩尾望都……ではなく、「ACCA13区監察課」の原作者でもあるオノ・ナツメが担当。キャラクターデザインは久貝典史、音楽は君島大空、そしてアニメーション制作はMADHOUSEと、「ACCA13区 Regards」の主要スタッフが再集結している。この布陣を見るだけで、クオリティへの期待が自然と高まる。

夏目監督がこれまで一貫して追い求めてきた「映像と空気感で語る物語」が、オリジナル長編という形でどこまで昇華されるのか。続報が出るたびに目が離せない作品になりそうだ。