「路傍のフジイ」、静かな物語に幕
本作は鍋倉夫が手がけた「路傍のフジイ~偉大なる凡人からの便り~」。タイトルに「偉大なる凡人からの便り」という副題が添えられているとおり、特別な才能や劇的な事件とは縁遠い、どこにでもいるような人物・フジイを主人公に据えた作品だ。派手な展開よりも、日常の機微や人間関係のあたたかさをじっくりと描くスタイルが特徴で、スピリッツらしい落ち着いた読み味が多くの読者に支持されてきた。
鍋倉夫といえば、「ひらやすみ」で一躍注目を集めた作家だ。ゆったりとした生活感の中に人の優しさや孤独を丁寧に描く筆致は本作でも健在で、「ひらやすみ」のファンはもちろん、新たな読者層も獲得してきた。完結を惜しむ声がSNS上でも早くも上がっており、その静かな人気の根強さが伝わってくる。
同号にはパトレイバー新作読切第2弾も
さらに今号には、「機動警察パトレイバー」の新作読切第2弾も掲載されている。押井守・ゆうきまさみらが生み出し、1980年代後半から90年代にかけて社会現象にもなったパトレイバーが、なぜ今また動き出しているのか——その背景には、根強いファン層の存在と、近年のレイバー(ロボット)というコンセプトが改めて現代に響くものを持っているという事情もあるだろう。第1弾に続く第2弾がどのような内容になっているのか、往年のファンならずとも気になるところだ。
「路傍のフジイ」の完結と、パトレイバー新作読切の第2弾という二本立てで充実した今号。鍋倉夫の次回作に関する情報や、パトレイバー新作の続報など、今後の発表にも引き続き注目していきたい。