2作の新連載が同時スタート
8月18日発売のコミック百合姫10月号(一迅社)にて、2作の新連載が同時にスタートした。
まにおによる「いじめてくれる君がすき」は、家庭に不和を抱える女子高生・橘ゆづるが、クラスメイトの四十万カエをいじめることでストレスを発散するところから始まる物語だ。仲間から「バレたら退学になる」と釘を刺されたゆづるがカエとの関わりを断ち切ろうとした矢先、カエが授業中に突然失禁するという衝撃的な出来事が起こる。周囲がゆづるの仕業だと疑う中、カエがゆづるに告げた「意外な思い」が、この歪んだ関係に新たな火種をくべる。
もう一作、葵季むつみによる「聖なる姫のかくしごと」は、復活が予言された魔王に対抗するべく大聖女となるための旅に出る王女・リーリネと、その護衛を務める生真面目な女剣士・アニヤの物語。ファンタジー世界を舞台にした旅と、2人の関係の変化を描いていくと見られる。
対照的な2作が示す百合姫の間口の広さ
今回の2作は、テーマ・ジャンルともに対極に位置しているのが興味深い。「いじめてくれる君がすき」は、いじめという倫理的にデリケートな題材を正面から扱いながら、2人の間に芽生えるかもしれない複雑な感情を掘り下げようとする意欲作だ。タイトルが示す通り、単純な加害と被害の構図には収まらない関係性が描かれることが予想され、読者の間でも早くも賛否含めた注目を集めそうだ。
一方の「聖なる姫のかくしごと」は、百合姫でも人気の高いファンタジー×百合の王道路線。護衛と主君という立場の差が生む緊張感と、旅を通じて縮まっていく距離感は、このジャンルが持つ最大の醍醐味でもある。タイトルに「かくしごと」とある以上、リーリネかアニヤのどちらかが秘密を抱えていることは間違いなく、その正体が物語の核心になりそうだ。
コミック百合姫は長年にわたり、純愛から複雑な感情模様まで幅広い百合作品を世に送り出してきた。今号の2作は、その懐の深さを改めて示すラインナップといえる。どちらの連載も始まったばかりだけに、今後の展開から目が離せない。