世界を救うより、モテたい——勇者ハルヤの第二の人生

本作の主人公は、魔王との死闘の末に命を落とした勇者・ハルヤ。彼が死の間際に抱いたのは、世界への感謝でも仲間への別れの言葉でもなく、「童貞のまま死にたくない」という切実な後悔だった。その強すぎる未練が通じたのか、ハルヤは勇者として旅立つ直前の時点まで回帰することになる。

時間を巻き戻した彼に突きつけられた選択肢は二つ——再び聖なる使命を背負って世界を救うか、それとも今度こそ自分のために生きてハーレムを築くか。ハルヤが選んだのは迷わず後者。しかし、勇者の宿命というのはそう簡単に振り切れるものではないらしく、彼の「モテたい人生」には思わぬ運命が立ちはだかる。

「ループもの×ラブコメ」という組み合わせの妙

タイムループ・死に戻り系の作品は近年のマンガ・アニメシーンで定番ジャンルとして定着しているが、本作のユニークな点は、主人公のモチベーションが徹底的に不純なところにある。世界の平和でも自己成長でもなく、「モテたい」という一点突破の動機で物語が動くのは、シリアスになりがちなループものの文法を意図的に裏切る構成だ。

原作を手がける今慈ムジナと、作画の木村勇治がどのようなタッグで世界観を構築していくのかも注目点のひとつ。月刊Comic REXは『ゆるキャン△』などを擁する一迅社の看板誌であり、個性的な作品を継続的に世に送り出してきた土台がある。そのラインナップに加わった本作が、勇者ものとラブコメの掛け合わせでどこまで独自の色を出せるか——第1話の読み心地が今後の評価を大きく左右しそうだ。

月刊Comic REX10月号は現在発売中。続報や単行本化の動向にも引き続き注目していきたい。