2023年10月に連載をスタートさせた本作は、約1年半ほどの連載期間を経て、ファンに惜しまれながら幕を下ろすことになる。作者の岸川みずきは、完結に向けてどのようなラストを用意しているのか、読者の間で期待と名残惜しさが入り混じった声が広がっている。
ボディスワップ×ラブコメという王道の面白さ
『レモン、幸せになってよかった』は、男女の主人公が体を入れ替えてしまうという、ラブコメ漫画の定番ギミックを軸に展開する作品だ。タイトルに込められた「レモン」という言葉のほろ苦さと甘さが、本作のトーンをそのまま表しているようで、読む前からその世界観に引き込まれる。
ボディスワップものは古くから少女漫画・少年漫画問わず愛されてきたジャンルだが、本作はそこに独自のキャラクター描写と感情の機微を加えることで、単なる入れ替わりドタバタ劇に留まらない奥行きを持たせていた。「相手の立場に立つ」という体験が、そのままキャラクターたちの心の距離を縮める装置として機能している点が、このジャンルの最大の魅力でもある。
短命ながら濃密な連載、その完結に思うこと
連載期間としては決して長くはなかったが、だからこそ密度の高い物語が展開されてきたとも言える。昨今のウェブ漫画・雑誌連載の厳しい環境を考えると、短期集中型の連載スタイルは珍しくなくなってきているが、作者がしっかりと着地点を見据えた上で完結を迎えるのであれば、読者としては最後まで信頼して見届けたいところだ。
ラブコメというジャンルの性質上、最終回では主人公たちの関係がどう決着するのかが最大の焦点になる。「幸せになってよかった」というタイトルが答えを先に示しているようにも読めるが、そこに至るまでの過程にこそ、この作品の真髄があるはずだ。
最終話の公開後には、岸川みずきの次回作にも自然と注目が集まることになるだろう。新たな作品でどんな化学反応を見せてくれるのか、今から楽しみに待ちたい。