西根羽南原作、橘テルエ作画によるコミック「終活令嬢~人生を諦めて死ぬ気満々な私と溺愛したい神官の攻防~」の第1巻が、2025年3月26日に発売された。
本作の主人公は、若き公爵令嬢のエレノア。彼女は死ぬたびに約1年前へと時間が巻き戻るという、いわゆる「死に戻り」のループに囚われている。その原因は従妹のジェシカで、憎しみを抱く彼女にさまざまな手段で何度も命を奪われ続けてきた。何度繰り返しても状況は変わらず、誰にもループの秘密を打ち明けられないまま、エレノアはついに「もう死を受け入れよう」という結論に至る。
しかしエレノアが選んだのは自暴自棄ではなく、前向きな「終活」だった。人生の幕引きをきちんと整えるべく神殿を訪れた彼女は、そこで美しい神官・ルークと出会う。どこかで会ったような既視感を覚えながらも、エレノアはあくまで終活の相談相手として彼に接しようとするのだが、ルークはそんな彼女に「生きてほしい」と強く願い、二人の間には独特の攻防が繰り広げられていく。
「死に戻り」を題材にした作品はここ数年で一気に増えたが、本作がひときわ目を引くのは、主人公が「ループを打破しよう」と奮起するのではなく、完全に生きることを諦めるという出発点の異色さだ。ループものの王道をあえて外したこの設定が、物語に独特のトーンをもたらしている。ヒロインが前向きに「死ぬ準備」をするというブラックユーモアとロマンスの組み合わせは、読者の予想を気持ちよく裏切ってくれそうだ。
ルークというキャラクターも興味深い。死を受け入れたエレノアに対し、彼がどんな言葉をかけ、どう関わっていくのか。「溺愛したい神官」という肩書きが示すとおり、彼の一方的な熱量とエレノアのすれ違いが物語の核になっており、ラブコメとしての引きも十分に感じられる。
原作は西根羽南氏によるもので、コミカライズを担当した橘テルエ氏の画力も注目ポイントだ。ヤンチャンWebで連載中の本作は、独特の設定と丁寧なキャラクター描写でじわじわと読者の支持を集めており、コミックス化によってさらに多くのファンに届く機会が生まれた。
第1巻の発売を機に、今後の展開や続巻情報にも引き続き注目していきたい。