サンボン原作のライトノベルをコミカライズした「死に戻りの冷害王子が賢王と呼ばれるまで~導いたのは不器用な侯爵令嬢の祈りでした~」の第1巻が、2026年3月26日に発売された。作画は小倉つくし、ネーム構成を天野なすのが担当している。

本作の主人公は、第一王子でありながら"冷害王子"と呼ばれる青年・ディートリヒ。王位に執着する母親のもとで幼い頃から操り人形のように育てられた彼は、感情を表に出すことをほとんど知らないまま成長する。氷のように冷たい振る舞いゆえに婚約を申し出る令嬢も現れない中、かつてひょんなことで知り合った侯爵令嬢・マルグリットだけが、彼に手を差し伸べてくる。

しかしディートリヒは、そんなマルグリットの真っ直ぐで不器用な優しさを素直に受け取ることができず、冷たい態度を取り続けてしまう。そして17歳を迎えた彼は、弟に王位を奪われ公開処刑という最悪の結末を迎える。そこから物語は「死に戻り」というループの構造へと展開していく。

秋田書店のWebマンガサイト・ヤンチャンWebで連載中の本作は、近年人気を集めている転生・ループ系ファンタジーの中でも、ヒロインではなく男性主人公側の視点を軸に据えている点がひとつの特徴だ。「冷害王子」という異名が示すように、感情表現の乏しいキャラクターがどのように変化していくのかという成長譚としての側面も強く、タイトルにある「賢王」への道のりがどう描かれるかが読みどころになりそうだ。

また、マルグリットの「不器用な祈り」がディートリヒを導くという構図は、ヒロインが単なる添え物にとどまらない関係性を予感させる。ループものでありながら、二人の関係の変化や感情の機微に焦点を当てたラブファンタジーとしての色合いも強いと言えるだろう。

第1巻には小倉つくしによる描き下ろしのおまけマンガに加え、原作者サンボンによるショートストーリーも収録されており、原作ファンにとってもうれしい内容となっている。コミカライズと原作、双方を楽しめる一冊に仕上がっている。

原作小説のファンはもちろん、ループファンタジーや感情表現が苦手な不器用な主人公の物語が好きな読者にとって、手に取る価値のある作品だ。今後の連載の進展や、単行本の続巻にも引き続き注目していきたい。