ビンタに美学を見出す男の、一風変わった読み切り
加藤優汰による読み切り漫画「鶴見のビンタ」が、5月10日に少年ジャンプ+へ掲載された。
主人公の鶴見は、ビンタをすることに強いこだわりと美学を持つ男。特に「悪者へのビンタが一番いい音が鳴る」という独自の哲学を持ち、今日も最高の一発を求めて街へと繰り出す。彼の顔に惚れ込んだ女性・陸(くが)のヒモとして生きているという、なんとも独特の関係性が物語の軸となっている。
「悪者への制裁」という快感を、ユーモアで包んだ設定の妙
この作品でまず目を引くのは、「ビンタ」という行為をめぐる設定の精緻さだ。単純に暴力的な主人公を描くのではなく、「悪者ほどいい音がする」というロジックを組み込むことで、勧善懲悪的な爽快感とコメディの要素が自然に同居する構造になっている。
鶴見と陸の関係性も、ありきたりなバディものとは一線を画す。「顔が好きだからヒモにする」という女性側の主導権が、物語に独特のユーモアと軽みをもたらしている。こうした関係性の逆転は、近年のジャンプ+読み切りが得意とする切り口でもある。
少年ジャンプ+は、連載作品だけでなく読み切りの発掘・育成にも力を入れているプラットフォームとして知られており、個性的な作家の短編が定期的に公開されている。加藤優汰がどのような作家なのか、今回の一作がその入口になるかもしれない。
「鶴見のビンタ」は現在、少年ジャンプ+にて無料で読むことができる。今後の加藤優汰の動向と、この読み切りへの読者反応に注目したい。