日仏の巨匠が描く、種子島の歴史的邂逅
本作は、16世紀にポルトガル人が種子島に漂着した歴史的事件——いわゆる鉄砲伝来の時代——を舞台に、ポルトガル人と日本人の接触と交流を描いた歴史漫画だ。タイトルの「南蛮人」とは、当時の日本人がポルトガルをはじめとするヨーロッパ人を指して使った言葉であり、異文化が激突・融合するその瞬間を、現代の二人の作家がどのように描き出すのかが最大の注目点となっている。
松本大洋は『ピンポン』『鉄コン筋クリート』『Sunny』など、独自の画風と深い人間描写で国内外に熱狂的なファンを持つ漫画家。一方のシリル・ペドロサはフランスのバンド・デシネ界を代表する作家のひとりで、『ポルトガル』(邦題)などの作品で知られ、ヨーロッパでは高い評価を受けている。
「東京野蛮人」へと続く、松本大洋の新たな挑戦
本作は、松本大洋の関連作品として位置づけられる「東京野蛮人(Tokyo Yabanjin)」とも世界観的なつながりが見られる。松本大洋がこれまで描いてきた「文明と野性」「異質なものとの出会い」というテーマが、今回は歴史という舞台を得て、より大きなスケールで展開されようとしているとも読み取れる。
国境を越えたコラボレーションという点でも、この作品は異例だ。日本の漫画家とフランスのバンド・デシネ作家が対等に共同制作に臨むケースは決して多くなく、それぞれの画風やストーリーテリングの手法がどのように融合しているのか、あるいはあえて混在させているのかは、読み始めた瞬間から気になるところだろう。16世紀の「異文化接触」を描くにあたって、制作者自身もまた異なる文化的背景を持つ二人であるという事実は、作品に独特のリアリティと奥行きをもたらすはずだ。
原作ファンにとっては、松本大洋が歴史ものに本格的に踏み込むこと自体が新鮮な驚きであり、ペドロサのファンにとっても日本の漫画家との化学反応がどう出るかは見逃せない。連載が進むにつれ、両者の個性がどのように作品に刻まれていくのか、今後の展開に引き続き注目したい。