文豪・夏目漱石が「彼女」として目覚める——異色の設定が話題に

本作の最大の特徴は、そのぶっ飛んだ設定にある。近代文学の巨人・夏目漱石が、なんと樋口一葉の身体に宿って復活するというのだ。千円札の顔として知られる明治の女流作家の肉体に、五千円札(旧紙幣)の顔でもあった文豪が転生するというギャップは、それだけでも読者の興味を引くに十分だろう。さらに物語の軸となるのは「政府の闇」に迫るというサスペンス要素で、歴史ファンタジーとしての骨格もしっかり備えている。

原作を手がけるのは零余子、作画を担当するのは鈴木マナツ。掲載誌の月刊ビッグガンガンはスクウェア・エニックスが刊行する青年漫画誌で、個性的な作品を多数輩出してきた。

歴史上の実在人物を大胆に再解釈する「文豪もの」の新境地

近年、実在の文豪や歴史的人物をキャラクター化した作品はジャンルとして定着しつつあるが、「夏目漱石ファンタジア」はその中でも一線を画すアプローチを取っている。単なるキャラクター化にとどまらず、性別を超えた「魂の転生」という要素を絡めることで、原作者・零余子の独自色が強く打ち出されている。

また、「政府の闇に迫る」という政治的なサスペンス要素は、ただの歴史ファンタジーに終わらせない意欲を感じさせる。明治という激動の時代背景と現代的なスリルを組み合わせた構成が、どのような化学反応を生むのか注目したいところだ。

作画の鈴木マナツがこの複雑な設定をビジュアルでどう表現しているかも、第1話を手に取る大きな動機になるはずだ。連載が進むにつれて世界観の全容が明らかになっていくことに期待したい。