出世欲と幽霊喰いの男が組む、異色のバディもの
本作の主人公は、出世に飢えた刑事・金剛。幽霊絡みの事件を専門に扱う「特霊課」へ左遷同然の異動を命じられた彼は、当初その境遇を嘆いていた。しかし、特霊課での活躍を足がかりにのし上がることを決意した金剛は、幽霊を狩って「喰う」という謎めいた男・トガタと手を組む。二人が挑む最初の事件は、女性を自殺へ追い込む亡霊の仕業とされる連続事件だ。
主人公が「出世のために動く」という、少年漫画としてはやや斜に構えた動機設定が目を引く。熱血一辺倒ではない、打算と信念が入り混じったキャラクター造形は、読み進めるうちに化けそうな予感がある。一方のトガタも、「幽霊を喰う」という設定だけで謎と魅力を十分にまとっており、二人の関係性がどう変化していくかは読み切り段階から気になるところだ。
「幽霊が実証された世界」という設定の豊かさ
本作のもう一つの読みどころは、幽霊の存在が社会的に認められた近未来という世界観の構築にある。幽霊が「いるかもしれない」ではなく「いることが証明されている」世界では、警察組織のあり方も、人々の死生観も、現実とは大きく異なるはずだ。特霊課という専門部署の存在が、その社会設定をリアルに裏付けている。
ホラー的な怖さを前面に押し出すのではなく、あくまで刑事ドラマの文脈で幽霊を扱う構成は、ジャンプ+らしい実験的な試みといえる。読み切りという限られたページ数の中で、世界観・キャラクター・事件の三つをどこまで描ききっているか、実際に読んで確かめてほしい。
作者・宝依図の今後の動向、そして本作が連載へとつながるかどうかにも注目したい。