2冊同時発売——リメイクと後日譚という異なるアプローチ
「ア太郎!」は、赤塚不二夫が1967年から連載した「もーれつア太郎」を寺沢大介がリメイクした作品だ。原作は魚屋の息子・ア太郎が父の死後、仲間たちとともに奮闘するギャグ漫画の名作で、アニメ化も2度行われた国民的タイトル。寺沢がこの作品にどのような解釈と画風を持ち込んでいるのか、原作ファンにとっても大きな関心事となっている。
もう一方の「ミスター味っ子/将太の寿司 令和対決編」は、寺沢自身の代表作2作品をテーマにした短編集。「令和」という言葉をタイトルに冠していることからも分かるとおり、かつての主人公たちが現代を舞台に再び腕を振るう後日譚的な内容となっている。「ミスター味っ子」の陽一や「将太の寿司」の将太が、令和の食の世界でどんな戦いを見せるのか——往年のファンには堪らない企画だ。
「食マンガの第一人者」が仕掛ける令和の一手
寺沢大介といえば、1987年から連載された「ミスター味っ子」で料理漫画ブームの先駆けとなり、続く「将太の寿司」でも食と人間ドラマを融合させた作風で多くの読者を獲得した作家だ。近年は「ミスター味っ子 II」など続編・関連作も手がけており、自らの世界観を丁寧に広げ続けている。
今回の2冊同時発売は、リメイクという外部IPへのアプローチと、自作後日譚という内側からの深掘りという、まったく異なる方向性を同時に打ち出した点が興味深い。特に「もーれつア太郎」のリメイクは、赤塚作品の持つ昭和的なユーモアを寺沢がどう現代に翻訳するかという点で、食マンガとはまた違う寺沢の引き出しを見せてくれる可能性がある。
購入特典として、紀伊國屋書店新宿本店では描き下ろしイラストカードが用意されているので、コレクター心をくすぐられるファンは足を運んでみる価値があるだろう。寺沢大介の新境地と原点回帰が同時に楽しめる今回の刊行、続報や作者のコメントにも引き続き注目していきたい。