姉の仇「歯医者」を追う少女の復讐譚

本作の主人公・ニシュは、「歯医者」と呼ばれる殺し屋によって姉を殺されたことをきっかけに、自ら裏社会へと身を投じた少女だ。ある日、組織のボスから歯医者の情報を掴んだという報告を受け、ついに復讐を果たせると標的のもとへ向かうニシュ。しかし、バディを組むフジミとある理由から衝突してしまい、物語は一筋縄ではいかない展開を見せる。

タイトルの「蜂蜜が塗られている」という不穏な語感が、作品の持つ甘さと毒の混じり合ったような世界観をうまく表現している。復讐という重いテーマを扱いながらも、バディものとしての関係性の妙も盛り込まれており、読切一本の中にしっかりとした物語の起伏が詰め込まれている印象だ。

読切だからこそ光る密度と構成

少年ジャンプ+は近年、読切作品を積極的に掲載し、そこから連載へと昇格する作品も少なくない。本作もそのポテンシャルを感じさせる一作で、ニシュとフジミのバディ関係や「歯医者」という謎めいた殺し屋の存在など、連載へと広げられる余白が随所に見える。

「歯医者」という殺し屋の呼称が持つ不気味さも印象的で、裏社会の独特な空気感を一言で体現している。ダークな復讐劇とバディものの化学反応がどこまで描かれているのか、実際に読んで確かめてほしい。

石川兼心がこの先どのような形でこの世界を発展させていくのか、連載化の可能性も含めて今後の動向に注目したい。