花屋の娘が「悪女」を演じる——異色の後宮ミステリー

本作の主人公は、お金が大好きで頭も切れる花屋の娘。後宮という閉ざされた世界で「悪女」として雇われ、さまざまな謎に挑んでいくという、一筋縄ではいかない設定が目を引く。後宮ものといえば純愛や政治的陰謀を軸にした作品が多いが、本作は「報酬のために悪女を演じる」という実利主義的な主人公像が新鮮だ。お金への執着と高い知性を持ち合わせたヒロインが、どんな化学反応を起こすのか期待が高まる。

コミカライズ版を手がけるのは七橋ゆた。原案はヨワ(一二三書房)が担当し、シナリオはcharmeとよこすかなみが共同で執筆している。複数のクリエイターが関わる体制は、それぞれの強みを活かした丁寧な作品づくりを感じさせる。

原作「ヨワ」発の後宮ファンタジー

原案となっているのは一二三書房のヨワ発のコンテンツで、後宮を舞台にしたファンタジーミステリーの色合いが強い。後宮という閉鎖的な空間でのサスペンス、そして「暴君」と呼ばれる人物がなぜ悪女を愛するのかという関係性の謎も、読者を引き込む大きな要素になっている。

拝金主義でかわいいという、ともすれば矛盾しそうなヒロインの魅力をどう描くかは、この作品の核心といえる。打算的でありながらも愛嬌があり、頭脳で後宮の謎に切り込んでいく姿は、従来の後宮ものヒロインとは一線を画す存在感を持っている。

後宮ミステリーという人気ジャンルの中でも、主人公のキャラクター造形と「雇われ悪女」という設定のユニークさで差別化を図る本作。今後の展開や続刊情報にも、引き続き注目していきたい。