780万部という数字が示すもの
森下suuによる本作は、2019年より「デザート」(講談社)にて連載がスタート。ろう者の女子大生・雪と、多言語を操るバイリンガルの青年・板垣壱成の純愛を丁寧に描いた作品だ。連載から6年を経て世界累計780万部超という数字は、国内にとどまらず海外の読者からも厚い支持を集めていることを裏付けている。
ろう者の主人公を据えたラブストーリーというテーマ設定は、少女漫画の中でも一線を画す存在感を放ってきた。手話や筆談、口話といったコミュニケーションの描写がリアルかつ繊細で、「こういう恋愛漫画を待っていた」という声がSNS上でも多く見られる。単なる障害を題材にした作品という枠を超え、人と人が言葉を超えてつながる普遍的な感動を描いている点が、幅広い読者層に刺さった理由だろう。
アニメ化も追い風に
2024年にはTVアニメが放送され、さらに知名度が拡大した。雪役を演じた上田麗奈の繊細な演技と、手話監修を取り入れた丁寧な制作姿勢が話題を呼び、原作への注目度も改めて高まった。アニメ放送後に原作を手に取った読者も多く、今回の部数突破にはその影響も少なからず反映されていると見られる。
現在、物語はクライマックスへと差し掛かっており、雪と壱成の関係がどのような結末を迎えるのか、原作ファンの間でも大きな注目が集まっている。丁寧に積み上げてきた二人の関係性がどう着地するのか——森下suuがどんな「答え」を用意しているのか、最後まで目が離せない。