明治とインターネットが融合する異色の世界観
本作の舞台は1890年(明治23年)の日本。この世界では「万国巫女霊子網」、通称インタァネットと呼ばれる技術が民間に開放されており、千里を超えた会話や掲示板の閲覧が可能になっている。現実の歴史でインターネットが普及したのは1990年代以降のことだが、本作はその約100年前の明治時代に同様の概念を落とし込んだ、いわゆる歴史改変ファンタジーの趣を持つ作品だ。
ただし、単純に現代技術をタイムスリップさせた設定ではない点が面白い。インタァネットを操るためには巫女の素養が必要とされており、日本固有の文化・信仰と情報通信技術が独特の形で融合している。この設定の妙が、本作最大の魅力といえるだろう。
主人公カナコが動き出す第1話
物語の主人公は、好奇心旺盛な少女・カナコ。自身には巫女の素養がないため、姉の力を借りながらインタァネットを楽しんでいた彼女だが、ある日画像掲示板で偶然目にした耽美な絵に心を奪われる。「あの絵をもっと見たい」という純粋な欲求が、カナコを巫女力修行へと駆り立てる——というのが第1話の骨子だ。
動機がいかにも現代的で、どこか笑えるようでいて、しかし共感しやすい。「好きなコンテンツにもっと触れたい」という感情は、時代を問わず普遍的なものだ。その感情を明治の少女に担わせることで、時代の隔たりをぐっと縮めている。
原作と作画の組み合わせに期待
原作を手がけるコガッツオ、作画を担当する木野イチカ、いずれも今後の活躍が楽しみなクリエイターだ。歴史設定の考証と独自ルールの構築を要する原作と、明治の衣装や風俗を描き込む作画——それぞれの役割が明確に分かれた分業体制は、本作のような世界観重視の作品では特に効果を発揮しやすい。
「万国巫女霊子網」という造語のセンスや、"インタァネット"という表記に漂う時代がかった雰囲気など、細部への気配りも見受けられる。設定の広がり次第では、明治社会とネット文化の衝突や融合をさらに深く描いていける余地がある。第1話はあくまで導入に過ぎず、この世界がどこまで広がるかは今後の展開にかかっている。
少年ジャンプ+での連載は随時更新予定。第1話は現在無料で読める状態にあるため、まずは一度その世界観を体験してみてほしい。