2026年6月26日より、新潮社のウェブコミックサイト「くらげバンチ」にて、前日譚マンガ『回想都市短篇集』の連載がスタートする。つくみずといえば、2014年から2018年にかけて『少女終末旅行』を同サイトで連載し、独特の世界観と静謐な空気感で多くのファンを獲得した作家だ。完結から7年以上が経過したこのタイミングでの新展開に、界隈がざわついている。

『少女終末旅行』とはどんな作品か

『少女終末旅行』は、文明が崩壊した世界を二人の少女・チトとユーリが廃墟の都市をケッテンクラートで旅する、終末系スライス・オブ・ライフ作品だ。銃と本とカメラを携えながら、食料を求めてひたすら上層を目指す二人の日常を淡々と描いたその筆致は、どこか哲学的でありながら温かみがあり、「ゆるくて、でも深い」と評されることも多い。

2014年2月から連載を開始し、2018年1月に完結。全6巻が新潮社より刊行されている。2017年にはWhite Fox制作でテレビアニメ化もされており、原作の雰囲気を丁寧に再現した映像化として高い評価を受けた。

前日譚という切り口に込められた可能性

今回発表された『回想都市短篇集』は、タイトルの「回想」と「短篇集」という言葉が非常に興味深い。原作では、チトとユーリが旅する舞台である「層状都市」の成り立ちや、かつてそこで暮らしていた人々の歴史はほとんど語られなかった。その空白こそが作品の余白の美学でもあったのだが、前日譚という形でつくみずがその謎に自ら踏み込んでいくとなれば、ファンとしては期待せずにはいられない。

短篇集という形式をとることで、さまざまな時代・視点から都市の断片を描いていくオムニバス構成になるのではないかと予想される。もしそうであれば、あの廃墟に残された無数の「誰かの生活の痕跡」に、ようやく物語が宿ることになる。原作を読んだときに感じた「この世界にはいったい何があったのだろう」という問いに、つくみずがどんな答えを用意しているのか——あるいは、あえて答えを出さずに問いをさらに深めていくのか、その手腕に注目したい。

完結作の世界に作者自身が再び筆を入れるのは、それだけ作品への思い入れがある証拠でもある。2026年6月26日の連載開始に向けて、続報を待ちたい。